
売上を上げることがビジネスの成功につながるというのは、多くの経営者が共通して持っている考え方ですが、実はそれだけでは安定した経営が成り立たないことがあります。特に、従業員の満足度や働きやすさを無視したまま売上を追求すると、思わぬリスクを招く可能性があります。この点について詳しく考えてみましょう。
売上の数字が全てではない
例えば、あるミニマムエステサロンのケースを見てみましょう。月間売上150万円で、そこから40万円の利益が出るとします。この状況では、比較的ゆったりとした6割の稼働率で運営されています。この場合、スタッフも無理なく働いているため、離職率も安定しています。
一方で、売上が180万円に増えたときの利益は60万円に増えますが、稼働率は8割に達し、スタッフはより多くの負担を抱えることになります。このように、売上を上げることが必ずしも安定的な経営につながるとは限りません。
利益の使い方がカギを握る
売上が増えたときの利益の使い方は非常に重要です。例えば、増加した20万円を以下のように分配することが考えられます。
- 広告費の最大化による新規集客の増加
- スタッフの給与報酬の引き上げ
- サービスの質を向上させるための投資
- 設備の更新や追加投資
- 将来のための貯金
- スタッフの増員
しかし、この利益の使い方に失敗すると、スタッフが疲弊し、離職率が上がるリスクがあります。特に、業績が上がってくると、その利益の使い道に気を取られがちですが、スタッフの健康や働きやすさを後回しにすることは避けるべきです。
FC経営者の誤解
フランチャイズ(FC)の経営者にとって、売上の数字はしばしば競争の基準となります。他店舗との売上比較が行われ、自店舗の売上を上げることが強く求められます。しかし、ここで注意が必要なのは、それがスタッフの努力によるものであることです。売上の順位や他店舗との競争は、実質的な経営の健全性を測るものではありません。
FC内での順位や売上が重視されるあまり、内面的な数字、つまりはスタッフの勤務状況や士気、満足度を見失うと、逆にビジネスの根底を揺るがす結果になりかねません。従業員が心地よく働ける環境を整えることこそが、長期的な成長に繋がるのです。
利益をどう見るか
経営者は「利益」をどのように捉えるべきなのでしょうか。利益というと、まずお金を思い浮かべがちですが、実は人々の働きやその価値、そして環境も重要な要素です。利益をお金で見るのか、人で見るのか、モノで見るのか、それぞれの状況に応じた適切な判断が求められます。
結論
売上を上げることは重要ですが、それがすべてではありません。従業員の満足度や働きやすさを無視した急激な成長は、経営の安定性を脅かす要因となります。利益の使い方や、スタッフがどれだけ快適に働いているかを常に意識し、バランスの取れた経営を目指すことが重要です。経営者であれば、売上の数字を見るだけでなく、スタッフの状況や店舗内の雰囲気にも目を向ける必要があります。このような視点を持つことで、持続可能なビジネスに繋がるでしょう。
